アパレル縫製仕様書の役割と作成のポイント

縫製仕様書は、アパレル製品を製造するために必要な情報が記載された書類であり製品の設計図のような存在です。

不明瞭な縫製仕様書は生産ラインの遅延や品質問題の原因にもなりかねません。その問題を解決するためには、見やすい図解を活用した縫製仕様書が必要です。

この記事を通じて、縫製仕様書作成のポイントを押さえた縫製仕様書にすることで、生産管理の効率化と品質を向上させるためのヒントにしていただけると嬉しいです。

元アパレルパターンナーと生産管理を経験し、実際に縫製仕様書を作成していた筆者が効果的な縫製仕様書の作成方法とその重要性について深堀りしていきます。

この記事で分かること
  • 縫製仕様書とは何か
  • 縫製仕様書の基本的な役割と目的
  • 縫製仕様書を作成するためのポイント
  • 生産管理における縫製仕様書の重要性と効果
目次

縫製仕様書とは?基本的な役割と目的

縫製仕様書とは、アパレル製品を生産するために必要な情報を記載した書類です。

縫製仕様書は、デザイン画やパターン(型紙)だけでは伝えられない細かな縫製の仕方や、使用する生地・副資材・要尺・縫い方・仕上がりサイズなどを指示する書類で、洋服を組み立てる設計図となります。

縫製仕様書は、平面に描かれたデザインを立体化して洋服に仕上げるためのもので、別名 仕様書、加工依頼書、縫製指示書などと言われることもあります。

また、品質管理担当者は縫製仕様書を基に製品のサイズや品質を検品します。

縫製仕様書作成時のポイント

わかりやすく見やすい縫製仕様書は生産管理をする上で重要な役目があります。

縫製仕様書の内容が生産工場さん側に正確に伝わらないと、思った製品に出来上がらなかったり、生産が進められず納期に遅れてしまうことになります。

縫製仕様書の作成時には以下のポイントがあります。

縫製仕様書の作成時のポイント

  • 情報が分かりやすい色を使う
  • デザイン画や文章では分かりにく箇所には図解を記載する
  • 適度な太さの線を使う
  • 図解の配置に配慮する
  • 図やテキストの大きさを調整する
  • 読みやすいフォントを使う

まず、色使いに関しては、情報を分かりやすく引き立てる色を選びましょう。基本的に黒文字で良いですが、特に重要な部分は文字の色を変えたり、赤枠で囲ったりすると分かりやすいですね。

ポケットや裏側の仕様などデザイン画や説明文のみでは分かりにくい場合があります。そのような箇所には仕様の判断ができる図解を記載しておきます。

線の太さについては、適度な太さの線を使用しましょう。

細すぎると見えづらくなり、太すぎると情報の重要度が失われる可能性があります。

適切な線の太さを選ぶことで、図解が分かりやすくなります。

さらに、図の配置にも配慮します。

情報が一目で把握できるように、図とテキストの間に適切なスペースを設けましょう。

また、図やテキストのサイズやフォントも読みやすさに影響を与えるため、適切に調整します。

見やすい図解の作成には、色使いや線の太さなどのポイントに注意することが必要です。

縫製仕様書の重要性と効果

縫製仕様書は、生産において重要な役割があります。それは縫製仕様書には製品の詳細な仕様や副資材などが記載されており、生産者や品質管理担当者にとって貴重な情報源となるからです。

まず、縫製仕様書が生産に与える効果については以下の通りです。

縫製仕様書が生産に与える効果

  • 縫製仕様書に書かれた情報で製品を作成できる
  • 縫製仕様書に書かれた情報で生地や副資材を手配できる
  • 縫製仕様書を基に検品して品質向上させる
  • 生産及び生産管理の効率化

縫製仕様書には正確で明確な情報が含まれており、生産者はそれを基に製品を作り上げることができます。

仕様書にはデザイン図素材の指定仕様などが記載されており、それに従って製品を製造することで一貫した品質を保証できます。

縫製仕様書には使用する生地や副資材の品名や要尺が書かれています。それを基に生地や副資材を手配します。

また、縫製仕様書は品質管理の観点からも重要で、品質管理担当者は仕様書を基に製品の品質を検査し不良品の発生を防止します。

さらに、縫製仕様書は生産管理の効率化にもなります。

仕様書には製造手順に関する内容が記載されており、生産ライン全体の作業者が一貫した方法で作業を行うことで作業のムダやミスが減り、生産がスムーズに進行します。

生産管理における縫製仕様書の重要性と効果は大きく、品質保証、生産効率の向上、品質検査の効率化など、多くの利点があります。



縫製仕様書の書き方

縫製仕様書の書き方は下記の通りです。

縫製仕様書の書き方

  • 色や線の太さの基準を設ける
  • レイアウトに配慮する
  • テンプレートで統一する
  • 説明文と図解を組み合わせる
  • 簡潔に伝える

色や線の太さの基準を設ける

図解を作成する際には、統一されたガイドラインを策定します。

例えば、使用する色の意味や線の太さの基準などを明確に定めることで、一貫性のある図解を作成できます。

このガイドラインは、社内で共有し、縫製仕様書の作成者や関係者が適切な図解を作成する際の基準として活用することができます。

レイアウトに配慮

図やテキストの配置に配慮することも重要です。

図とテキストの間に適切なスペースを設けることで、情報の整理がしやすくなります。

また、図やテキストのサイズやフォントも読みやすさに影響を与えるため、適切に調整する必要があります。

テンプレートで統一する

縫製仕様書の作成には、レイアウトを定めたテンプレートを活用します。

テキストや図の配置が統一されたテンプレートを作成し、それを基に縫製仕様書を作成することで、一貫性のあるレイアウトになります。

また、テンプレートには見やすさを考慮したフォントやスペースの設定なども組み込むことで、簡単に分かりやすい縫製仕様書を作成できます。

OEMの会社でパタンナーや生産管理を経験し多くの会社の縫製仕様書を見てきましたが、

仕様書のテンプレートは様々で会社によって使いやすい形式で用意されています。

扱うアイテムによって記載項目や各項目のスペースの広さが違います。複雑な仕様のデザインのものほど図解が多くなり数枚に分けて作成する場合もあります。

カラー展開が多く副資材が多い製品は、カラー別の副資材が視覚的にも分かりやすい資料が必要になりますし

サイズ展開の多い場合はサイズ表のスペースが広めに必要だったりします。

国内生産なのか海外生産なのか、素材や副資材の手配はどの会社で行っているか(自社か、生産依頼先か?)

その会社がどのようなシステムでどのような製品を多く扱っているかによって縫製仕様書のテンプレートが違ってくるわけです。

必要な項目が明確に記載できるスペースを確保し統一させるようにしましょう。

参考にですが、スポーツウエアやアウトドアウエアの生産依頼を受けた際に、デザイン画から縫製仕様書を作成していました。下記は、その際に使っていたテンプレートに近いイメージのものです。(実際に使用していたものは出せませんので変えています)

(工場さんに依頼する際にはこの仕様書の他にもプリントの詳細指示など必要な資料を用意しセットで渡します。)

説明文と図解の組み合わせ

縫製仕様書を分かりやすく書くために、明確な説明文と視覚的な表現の図解の組み合わせは効果的です。

デザイン画だけでは分かりにくい部分には図解を書くことで視覚的に表現し、説明文がそれを補うことで、理解しやすくなります。

両方のバランスを取りながら、分かりやすい説明と具体的な図解を組み合わせましょう。

説明文と図解の関連性を明示するために、適切な番号や矢印などを活用することも効果的です。

簡潔に伝える

縫製仕様書は複雑な情報を伝えるためのものですが、シンプルさを追求することも重要です。

過剰な情報や複雑な図解は逆効果となり、理解が難しくなってしまいまう場合があります。

必要な情報を適切に絞り込み、簡潔さを追求することも大切です。

縫製仕様書の改善には、内容の整理と絞り込みが必要です。不要な情報を削除し、核心となるポイントに絞ることで、縫製仕様書が見やすくなります。

縫製仕様書の作成例

1枚の仕様書に必要な情報をまとめた例です。

複雑ではないアイテムの場合はこのように1枚にまとめることができます。

縫製仕様書の作成例、スウェットパーカー

ポケットの数が多かったり、複雑なデザインなどの場合は1枚には収まらないので2〜3枚に分けて作成します。

図解やコメント指示や文章の箇条書きなど自由に書き込めるスペースを広くとった下記のようなものもテンプレートとして用意しておくと良いです。

配色指示書

カラー展開が複数ある場合、身生地、裏地、副資材など、使用するカラーの組み合わせも分かりやすくしておく必要があります。

副資材の色指示も会社によって記載の方法が違っていて、使い慣れた指示書の形式があるかと思います。

OEMでスポーツウェアやアウトドアウェアを主に扱っていましたが、副資材の種類が多いのでカラー展開が2〜3色であっても配色の指示が複雑になりがちです。

副資材の発注にも関るため、表形式で誰が見ても分かるように記載した具体例をご紹介します。

縫製仕様書、配色指示を分かりやすくする

生産をスムーズにする分かりやすい縫製仕様書のまとめ

縫製仕様書は、アパレル製品の生産を徹底的にサポートするための重要なツールです。

見やすい図解、明確な説明文、適切なレイアウトなどを活用することで、分かりやすい縫製仕様書を作成することができます。

色分けや線の太さなどの視覚的な要素を工夫し、仕様書を作成しましょう。

レイアウトや配置にも注意し、情報の整理と可読性を高めましょう。説明文と図解のバランスを取り、簡潔に分かりやすく情報を伝えることが必要です。

必要な情報に絞り込み、シンプルでわかりやすさを重視します。

具体的なポイントを参考にしながら、見やすく理解しやすい縫製仕様書を作成し、スムーズな流れで生産が進むようにしましょう。

主に取り扱う製品の特徴、サイズ展開、カラー展開など考慮し使いやすくわかりやすい縫製仕様書のテンプレートがあれば、生産効率の向上や品質管理の強化、作業効率の向上などに繋がります。

この記事を書いた人
ah-kon
  • もの創り」に関わることなら何でも好き
  • 形になっていく工程を見るのが楽しくて、今でも子供のようにワクワクする50代
  • 経歴 : 元アパレルパターンナー、布製品の商品企画、生産管理、チラシやパッケージ等の印刷物デザイン、自社サイト・ECサイト運営管理など幅広く経験
  • 趣味 : 旅行、温泉、岩盤浴、写真を撮ること
  • とりあえず今できることを楽しんでやってます


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